前走でメンバー最速の上がりを記録した馬を見ると、「次走も能力を発揮しやすいのでは」と考えたくなります。この記事では、2016年〜2025年のJRA平地競走を対象に、前走上がり順位別の次走成績を比較。前走着順、次走の当日人気、距離変更、上がり順位の再現性まで条件を分け、前走上がり最速という情報をどこまで判断材料にできるのかを検証します。
検証の結論(要約)
前走上がり1位35,877頭の次走勝率は13.4%、複勝率は35.1%でした。上がり2〜3位は勝率11.1%・複勝率31.2%、7位以下は4.5%・14.9%で、前走上がり順位が高いほど次走成績も高い結果です。ただし、前走上がり1位馬は次走1〜3番人気が43.3%を占め、上がり2〜3位馬の35.8%より高い構成です。当日人気を揃えると多くの区分で勝率差は小さくなりました。前走上がり最速という情報だけで次走好走を説明することはできません。
この記事でわかること
- 前走上がり順位別の次走勝率・複勝率・回収率
- 前走上がり最速馬の次走成績を前走着順別に比較した結果
- 次走の当日人気を揃えても上がり順位差が残るか
- 前走上がり最速が次走でも再現される割合
- 距離短縮・同距離・距離延長で成績がどう変わるか
検証する通説の内容
今回確認するのは、「前走上がり最速馬は次走も好走しやすい」という見方です。上がり順位は、各レースで記録された終盤の走破タイムを比較した指標です。
ただし、上がり最速だった理由は一つではありません。前半を後方で進めて脚を残した馬、展開が向いた馬、能力差で速い上がりを使った馬などが同じ「上がり1位」に含まれます。
今回の検証で確認するポイント
- 前走上がり1位馬は他の上がり順位より次走成績が高いのか
- 前走着順や次走人気を揃えても差が残るのか
- 上がり最速は次走でも再現されるのか
検証条件の設計
同一馬の出走履歴を日付順に並べ、直前のJRA平地競走を前走として接続しました。各レースの上がりタイムを速い順に順位化し、前走上がり1位、2〜3位、4〜6位、7位以下の4区分で次走成績を比較しています。
同タイムで最速だった馬は、いずれも上がり1位として扱います。前走データが存在しない新馬戦は除外し、上がりタイムが記録されていない前走は順位別集計から外しています。条件差を見るときはサンプル数もあわせて確認します。
上がり順位はレース条件の影響を受ける
上がり順位は同じレース内での相対順位です。芝とダート、距離、馬場状態、ペースが違えば、同じ上がり1位でも走破タイムの意味は変わります。本記事では順位を比較しますが、上がりタイムそのものの絶対能力を測る検証ではありません。
検証結果|前走上がり順位別の次走成績
まず、前走上がり順位別の次走成績を比較します。勝率・連対率・複勝率に加え、該当馬の単勝・複勝を100円ずつ購入し続けた場合の回収率を掲載しています。
※前走の上がりタイムが記録されている馬を対象とした馬単位集計です。表は横にスクロールできます。
| 前走上がり順位 | サンプル数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1位 | 35,877 | 13.4% | 24.6% | 35.1% | 72% | 76% |
| 2〜3位 | 65,048 | 11.1% | 21.4% | 31.2% | 74% | 77% |
| 4〜6位 | 90,307 | 8.1% | 16.5% | 24.9% | 75% | 77% |
| 7位以下 | 204,255 | 4.5% | 9.5% | 14.9% | 70% | 70% |
データから読み取れること
前走上がり1位の次走勝率は13.4%、複勝率は35.1%でした。上がり2〜3位は11.1%・31.2%、4〜6位は8.1%・24.9%、7位以下は4.5%・14.9%です。
今回の全体集計では、前走上がり順位が高いほど次走の勝率・連対率・複勝率も高くなりました。上がり1位と7位以下では、次走勝率に8.9ポイント、複勝率に20.2ポイントの差があります。
一方、単勝回収率は上がり1位72%、2〜3位74%、4〜6位75%、7位以下70%でした。好走率の差ほど回収率差は大きくありません。前走上がり最速馬は次走で好走する割合が高い一方、市場からも評価されやすい可能性があります。
条件を変えた場合の結果
前走上がり最速でも、前走着順で次走成績は大きく変わる
前走上がり1位35,877頭を、前走着順別に分けます。
| 前走着順 | サンプル数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1着 | 12,025 | 13.4% | 24.3% | 34.4% | 71% | 78% |
| 2〜3着 | 11,512 | 19.5% | 34.8% | 47.7% | 74% | 79% |
| 4〜6着 | 7,949 | 9.6% | 18.7% | 28.5% | 71% | 72% |
| 7着以下 | 4,390 | 4.3% | 9.6% | 15.8% | 72% | 72% |
前走上がり1位かつ2〜3着だった馬は、次走勝率19.5%・複勝率47.7%でした。前走1着は13.4%・34.4%、4〜6着は9.6%・28.5%、7着以下は4.3%・15.8%です。
同じ前走上がり最速でも、前走2〜3着と7着以下では次走勝率に15.2ポイント差があります。上がり順位だけでなく、前走の到達着順を分けて見る必要があります。
前走1着馬の次走勝率が2〜3着馬より低いのは、前走1着馬に次走昇級が多く含まれるなど、条件構成が異なるためです。前走上がり最速と前走着順を組み合わせた数字を、そのまま着順だけの効果とは読めません。
前走上がり最速馬は次走でも19.6%が上がり1位
前走の上がり順位が、次走でもどの程度再現されるかを確認します。次走の上がりタイムが記録されている馬を対象としています。
| 前走上がり順位 | 次走1位 | 次走2〜3位 | 次走4〜6位 | 次走7位以下 |
|---|---|---|---|---|
| 1位 | 19.6% | 25.8% | 24.9% | 29.8% |
| 2〜3位 | 13.4% | 22.5% | 25.8% | 38.3% |
| 4〜6位 | 8.7% | 17.2% | 25.2% | 49.0% |
| 7位以下 | 4.7% | 10.5% | 18.5% | 66.4% |
前走上がり1位馬のうち、次走も上がり1位だった馬は19.6%でした。次走2〜3位まで含めると45.4%です。
前走上がり2〜3位馬は、次走1位13.4%、2〜3位22.5%。前走7位以下では次走1位4.7%、2〜3位10.5%でした。前走上がり順位が高いほど、次走でも上位の上がり順位を記録する割合は高くなっています。
ただし、前走上がり1位馬でも次走上がり1位を再現する割合は2割弱です。上がり最速は一定の再現性が見られる一方、毎回続く情報ではありません。
当日人気を揃えると上がり1位と2〜3位の差は小さい
前走上がり1位馬と2〜3位馬を、次走の当日人気別に比較します。
| 当日人気 | 前走上がり順位 | サンプル数 | 勝率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 1番人気 | 1位 | 6,387 | 36.8% | 68.1% | 82% | 86% |
| 1番人気 | 2〜3位 | 8,964 | 33.9% | 67.0% | 78% | 85% |
| 2〜3番人気 | 1位 | 9,157 | 16.7% | 48.3% | 77% | 82% |
| 2〜3番人気 | 2〜3位 | 14,332 | 16.7% | 48.6% | 79% | 82% |
| 4〜6番人気 | 1位 | 9,347 | 7.7% | 28.7% | 77% | 76% |
| 4〜6番人気 | 2〜3位 | 16,645 | 7.5% | 28.5% | 78% | 76% |
| 7〜9番人気 | 1位 | 5,934 | 2.8% | 13.7% | 61% | 67% |
| 7〜9番人気 | 2〜3位 | 12,222 | 3.0% | 14.6% | 67% | 73% |
| 10番人気以下 | 1位 | 5,052 | 1.0% | 6.2% | 53% | 64% |
| 10番人気以下 | 2〜3位 | 12,885 | 1.2% | 6.0% | 66% | 70% |
1番人気では前走上がり1位の勝率36.8%、2〜3位は33.9%で、上がり1位が2.9ポイント上回りました。一方、2〜3番人気は16.7%対16.7%、4〜6番人気は7.7%対7.5%でほぼ同水準です。
7〜9番人気は2.8%対3.0%、10番人気以下は1.0%対1.2%で、上がり1位馬が上回る結果ではありませんでした。当日人気を揃えると、全体で見られた13.4%対11.1%の差は多くの人気帯で小さくなります。
前走上がり最速馬は次走1〜3番人気の割合が高い
前走上がり1位馬と2〜3位馬の次走人気構成を比較します。
| 当日人気 | 前走上がり1位の構成比 | 前走上がり2〜3位の構成比 |
|---|---|---|
| 1番人気 | 17.8% | 13.8% |
| 2〜3番人気 | 25.5% | 22.0% |
| 4〜6番人気 | 26.1% | 25.6% |
| 7〜9番人気 | 16.5% | 18.8% |
| 10番人気以下 | 14.1% | 19.8% |
前走上がり1位馬は次走1番人気が17.8%、2〜3番人気が25.5%で、1〜3番人気を合わせると43.3%です。前走上がり2〜3位馬は35.8%でした。
反対に10番人気以下は上がり1位14.1%、2〜3位19.8%です。前走上がり最速馬は次走でも高く評価される割合が高く、この人気構成差が全体の好走率差に含まれています。
距離延長では前走上がり最速馬の勝率が11.7%まで低下
前走上がり1位馬を、次走の距離変更別に分けます。
| 距離変更 | サンプル数 | 勝率 | 連対率 | 複勝率 | 単勝回収率 | 複勝回収率 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 距離短縮 | 5,552 | 14.0% | 25.2% | 36.3% | 78% | 78% |
| 同距離 | 19,256 | 14.2% | 26.3% | 37.1% | 73% | 77% |
| 距離延長 | 11,069 | 11.7% | 21.4% | 30.8% | 67% | 74% |
前走上がり1位馬の次走勝率は、同距離14.2%、距離短縮14.0%、距離延長11.7%でした。複勝率も37.1%、36.3%、30.8%で、距離延長が低い結果です。
前走で上がり最速を記録していても、次走の距離変更で成績は同じではありません。ただし、距離延長馬と同距離馬では当日人気やクラス構成も異なる可能性があり、距離変更だけの影響とは断定できません。
データから読み取れること
- 前走上がり1位の次走勝率は13.4%、複勝率は35.1%
- 前走上がり最速かつ2〜3着は次走勝率19.5%、複勝率47.7%
- 前走上がり1位馬の19.6%が次走も上がり1位だった
- 当日2〜3番人気では前走上がり1位と2〜3位の勝率がともに16.7%
- 前走上がり1位馬は次走1〜3番人気が43.3%を占め、人気構成にも差がある
この検証の限界と読み取り方
今回の検証では、前走上がり順位が高いほど次走の好走率も高くなりました。前走上がり1位馬は次走でも上位の上がり順位を記録する割合が高く、一定の再現性も確認できます。
この検証の限界
- 上がり順位は同一レース内の相対順位であり、異なるレース間の絶対タイム比較ではない
- ペース、位置取り、馬場状態によって上がり順位の意味は変わる
- 前走上がり順位別で、前走着順・次走人気・クラス構成は同一ではない
- 当日人気は市場評価を反映した結果であり、上がり順位の因果効果を示す調整変数ではない
前走上がり1位馬の次走勝率13.4%は、上がり2〜3位11.1%、4〜6位8.1%、7位以下4.5%を上回っています。しかし、前走上がり1位馬は次走1〜3番人気になる割合も高く、当日人気を揃えると多くの区分で差は小さくなりました。
したがって、「前走上がり最速だから次走も好走する」と一律に判断するのではなく、前走着順、次走の人気評価、距離変更を分けて確認する必要があります。上がり順位は有力な過去情報の一つですが、条件別データ分析として周辺条件と組み合わせて読むことが重要です。
まとめ
今回の検証まとめ
- 前走上がり1位35,877頭の次走勝率は13.4%、複勝率は35.1%
- 上がり2〜3位は勝率11.1%、4〜6位は8.1%、7位以下は4.5%
- 前走上がり1位馬の19.6%が次走も上がり1位を記録
- 当日人気を揃えると、前走上がり1位と2〜3位の勝率差は多くの区分で小さい
- 前走上がり最速だけでなく、前走着順・当日人気・距離変更を分けて確認する必要がある
「前走上がり最速馬は次走も好走する」という見方について、今回の2016年〜2025年JRA平地競走では、前走上がり1位馬の次走勝率13.4%・複勝率35.1%で、他の上がり順位区分を上回りました。
一方、前走上がり1位馬は次走でも上位人気になる割合が高く、人気帯を揃えると勝率差は大きく縮小します。上がり最速は次走評価の材料になりますが、それだけで結論を出さず、前走着順、当日人気、距離変更と組み合わせて確認することが重要です。
検証条件
- 対象:JRA平地競走
- 集計期間:2016年〜2025年
- 前走データ:同一馬の出走履歴を日付順に接続し、前走データのない新馬戦を除外
- 上がり順位:各レースの上がりタイムを速い順に順位化。同タイム最速は複数頭とも1位として扱い、前走上がりタイム未記録馬は順位別集計から除外
- 条件分解:前走着順、次走当日人気、次走上がり順位、前走からの距離変更で比較
- 指標・出典:勝率・連対率・複勝率・単勝回収率・複勝回収率を馬単位で集計。データ出典は競馬データアカデミー独自集計
よくある質問
前走上がり最速馬は次走も好走するというのは本当ですか?
今回の2016年〜2025年JRA平地競走では、前走上がり1位馬の次走勝率は13.4%、複勝率は35.1%でした。上がり2〜3位は11.1%・31.2%で、全体では上がり1位馬が上回っています。ただし次走人気の構成も異なります。
前走上がり最速なら次走も上がり最速になりますか?
今回の条件では、前走上がり1位馬の19.6%が次走も上がり1位でした。2〜3位まで含めると45.4%です。一定の再現性は見られますが、次走も必ず上位の上がりを記録するわけではありません。
前走上がり最速で負けた馬は次走成績が高いですか?
前走上がり1位かつ2〜3着だった馬は次走勝率19.5%・複勝率47.7%でした。4〜6着は9.6%・28.5%、7着以下は4.3%・15.8%で、前走着順によって大きな差があります。
人気を揃えても前走上がり最速馬の成績は高いですか?
1番人気では前走上がり1位36.8%、2〜3位33.9%でした。一方、2〜3番人気は16.7%対16.7%、4〜6番人気は7.7%対7.5%でほぼ同水準です。人気帯によって差の大きさは変わります。
上がり順位データを見るときは何を確認すべきですか?
前走着順、次走の当日人気、距離変更を分けて確認することが重要です。上がり順位は同一レース内の相対順位なので、ペースや位置取り、馬場状態によって意味が変わります。十分なサンプル数と周辺条件をあわせて比較してください。
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