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同一厩舎の多頭出しは有利?単独出走との成績差をデータ検証

同じ厩舎から複数の馬が同じレースへ出走する「多頭出し」は、陣営が勝負をかけているサインとして見られることがあります。この記事では、2016年〜2025年のJRA平地競走を対象に、同一レースで同じ調教師が2頭以上を出走させた馬の成績を、単独出走と比較。当日人気、出走頭数、クラス、芝・ダートまで条件を分け、多頭出しを一律に有利と見られるのかを検証します。

検証の結論(要約)

多頭出し31,183頭の勝率は5.5%、複勝率は17.4%でした。単独出走412,085頭は勝率7.3%・複勝率21.8%で、全体では多頭出しが上回る結果ではありません。ただし、多頭出しは10番人気以下が45.8%を占め、単独出走の35.5%より10.4ポイント高い構成です。当日人気を揃えると、4〜6番人気は7.3%対7.2%、7〜9番人気は3.4%対2.9%で多頭出しが上回る区分もありました。今回の条件では、多頭出しだけで有利・不利を判断することはできません。

この記事でわかること

  • 同一厩舎の多頭出しと単独出走の勝率・複勝率・回収率
  • 2頭出しと3頭以上で成績が変わるか
  • 当日人気を揃えたときに成績差が残るか
  • クラス、芝・ダート別で多頭出しの見え方がどう変わるか
目次

検証する通説の内容

今回確認するのは、「同一厩舎の多頭出しは有利」という見方です。同じ調教師の管理馬が同一レースに複数出走すると、「厩舎として勝負度が高いのでは」「どちらかが好走しやすいのでは」と考えられることがあります。

ただし、1頭あたりの成績を比較する場合、厩舎全体として複数の出走機会があることと、各出走馬の勝率が高いことは別です。本記事では出走馬1頭を1サンプルとする馬単位成績で比較します。

今回の検証で確認するポイント

  • 多頭出し馬は単独出走馬より1頭あたりの成績が高いのか
  • 2頭出しと3頭以上で成績差はあるのか
  • 当日人気・クラス・芝ダートを揃えても差が残るのか

検証条件の設計

2016年〜2025年のJRA平地競走を対象に、同じ日付・競馬場・レース番号の中で調教師名が同じ馬を数えました。同一調教師が1頭のみ出走している場合を「単独出走」、2頭以上出走している場合を「多頭出し」としています。

多頭出しは2頭出しと3頭以上にも分けます。さらに次走や前走を接続する検証ではなく、各レース時点の当日人気、クラス、芝・ダートで条件を分けます。各比較ではサンプル数も確認します。

厩舎単位の「どれか1頭が勝つ確率」ではない

本記事の勝率は、出走馬1頭を1サンプルとして計算しています。多頭出し厩舎がレース単位で「所属馬のどれか1頭が勝つ確率」を比較したものではありません。複数頭を出せば厩舎全体の出走機会は増えるため、厩舎単位の確率と1頭あたりの成績は分けて考える必要があります。

検証結果|多頭出しと単独出走の成績差

まず、多頭出しと単独出走の全体成績を比較します。勝率・連対率・複勝率に加え、該当馬の単勝・複勝を100円ずつ購入し続けた場合の回収率を掲載しています。

※同一レース内の調教師別出走頭数による馬単位集計です。表は横にスクロールできます。

出走区分 サンプル数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
多頭出し 31,183 5.5% 11.2% 17.4% 75% 72%
単独出走 412,085 7.3% 14.5% 21.8% 72% 73%

データから読み取れること

多頭出しの勝率は5.5%、複勝率は17.4%でした。単独出走は勝率7.3%、複勝率21.8%で、勝率は1.8ポイント、複勝率は4.3ポイント上回っています。

全体集計だけを見ると、「多頭出しだから1頭あたりの成績が高い」という結果は確認できませんでした。一方、単勝回収率は多頭出し75%、単独出走72%で、多頭出しが3ポイント高い結果です。好走率と回収率は同じ方向には動いていません。

2頭出しと3頭以上で勝率差は小さい

多頭出し31,183頭を、同一厩舎の出走頭数別に分けます。

出走区分 サンプル数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
2頭出し 29,912 5.5% 11.2% 17.4% 75% 72%
3頭以上 1,271 5.7% 10.6% 16.9% 89% 61%
単独出走 412,085 7.3% 14.5% 21.8% 72% 73%

2頭出しは勝率5.5%、3頭以上は5.7%で、勝率差は0.2ポイントでした。複勝率は17.4%対16.9%です。

3頭以上の単勝回収率は89%でしたが、サンプル数は1,271頭で、2頭出し29,912頭より大幅に少ない区分です。また複勝回収率は61%でした。3頭以上だから一律に成績が上がる結果ではありません。

条件を変えた場合の結果

当日人気を揃えると全体ほど大きな差はない

多頭出しと単独出走を、当日の単勝人気帯別に比較します。

当日人気 出走区分 サンプル数 勝率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
1番人気 多頭出し 1,445 30.0% 61.7% 75% 82%
1番人気 単独出走 30,236 33.2% 64.6% 79% 84%
2〜3番人気 多頭出し 3,324 15.9% 45.5% 81% 83%
2〜3番人気 単独出走 60,039 16.4% 46.7% 80% 82%
4〜6番人気 多頭出し 5,708 7.3% 26.9% 81% 79%
4〜6番人気 単独出走 89,279 7.2% 27.1% 78% 77%
7〜9番人気 多頭出し 6,411 3.4% 13.8% 86% 78%
7〜9番人気 単独出走 86,381 2.9% 13.2% 74% 75%
10番人気以下 多頭出し 14,295 0.8% 4.2% 66% 62%
10番人気以下 単独出走 146,150 0.9% 4.5% 62% 63%

1番人気では多頭出し30.0%、単独出走33.2%で、単独出走が3.2ポイント上回りました。2〜3番人気は15.9%対16.4%です。

一方、4〜6番人気は多頭出し7.3%、単独出走7.2%。7〜9番人気は3.4%対2.9%で、多頭出しがわずかに上回りました。10番人気以下は0.8%対0.9%です。

当日人気を揃えると、全体で見られた5.5%対7.3%ほど大きな差は多くの人気帯で残りません。多頭出し馬と単独出走馬の人気構成が異なることを確認する必要があります。

多頭出しは10番人気以下が45.8%

当日人気の構成比を比較します。

当日人気 多頭出しの構成比 単独出走の構成比
1番人気 4.6% 7.3%
2〜3番人気 10.7% 14.6%
4〜6番人気 18.3% 21.7%
7〜9番人気 20.6% 21.0%
10番人気以下 45.8% 35.5%

多頭出しは1番人気4.6%、2〜3番人気10.7%で、単独出走の7.3%、14.6%より低い構成です。反対に10番人気以下は多頭出し45.8%、単独出走35.5%でした。

多頭出し馬には低人気馬が多く含まれています。当日人気別の成績差が小さい区分が多いことを考えると、この人気構成差が全体の好走率差に影響しています。

3勝クラスでは多頭出しの勝率が単独出走を上回る

クラス別に多頭出しと単独出走を比較します。OP・G3・G2・G1は「OP・重賞」としてまとめています。

クラス 出走区分 サンプル数 勝率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
新馬 多頭出し 2,741 5.1% 16.0% 96% 70%
新馬 単独出走 35,053 7.6% 22.8% 73% 72%
未勝利 多頭出し 11,062 5.0% 15.6% 77% 70%
未勝利 単独出走 149,374 7.0% 20.8% 69% 71%
1勝 多頭出し 7,424 5.4% 17.9% 61% 69%
1勝 単独出走 118,566 7.5% 22.4% 72% 74%
2勝 多頭出し 3,971 5.7% 18.7% 74% 74%
2勝 単独出走 54,024 7.6% 22.7% 73% 75%
3勝 多頭出し 2,160 7.5% 21.2% 94% 81%
3勝 単独出走 24,318 7.1% 21.5% 81% 76%
OP・重賞 多頭出し 3,825 5.8% 19.4% 73% 74%
OP・重賞 単独出走 30,750 7.2% 21.4% 70% 74%

新馬・未勝利・1勝・2勝・OP・重賞では、単独出走の勝率が多頭出しを上回りました。一方、3勝クラスは多頭出し7.5%、単独出走7.1%で、多頭出しが0.4ポイント高い結果です。

複勝率は3勝クラスでも21.2%対21.5%でほぼ同水準でした。クラスによって結果の方向が一部変わるため、「多頭出し」という条件だけで全クラスをまとめて評価することはできません。

芝・ダートとも全体では単独出走の好走率が高い

芝とダートを分けた成績も確認します。

コース 出走区分 サンプル数 勝率 連対率 複勝率 単勝回収率 複勝回収率
多頭出し 15,924 5.6% 11.1% 17.5% 75% 70%
単独出走 200,553 7.5% 15.0% 22.4% 71% 72%
ダート 多頭出し 15,259 5.4% 11.3% 17.4% 75% 73%
ダート 単独出走 211,532 7.1% 14.1% 21.2% 72% 73%

芝は多頭出し勝率5.6%、単独出走7.5%。ダートは5.4%対7.1%で、どちらも単独出走の好走率が高い結果です。

一方、単勝回収率は芝・ダートとも多頭出し75%で、単独出走の芝71%、ダート72%を上回りました。今回の全体比較では、多頭出しは好走率が低い一方、単勝回収率はわずかに高いという異なる動きが見られます。

多頭出しは14頭以上のレースに偏っている

レースの出走頭数構成も比較します。

出走頭数 多頭出しの構成比 単独出走の構成比
9頭以下 2.4% 5.4%
10〜13頭 15.9% 23.0%
14頭以上 81.7% 71.6%

多頭出し馬の81.7%は14頭以上のレースに出走していました。単独出走は71.6%です。反対に9頭以下は多頭出し2.4%、単独出走5.4%でした。

出走頭数が多いほど1頭あたりの基礎的な勝率は下がります。多頭出しが大頭数レースに偏っている点も、全体勝率の差を見るうえで無視できない母集団差です。

データから読み取れること

  • 多頭出しの勝率5.5%に対し、単独出走は7.3%
  • 2頭出し5.5%、3頭以上5.7%で勝率差は小さい
  • 多頭出しの45.8%は10番人気以下で、単独出走は35.5%
  • 当日4〜6番人気と7〜9番人気では多頭出しの勝率がわずかに上回った
  • 多頭出しの81.7%は14頭以上のレースで、レース構成にも差がある

この検証の限界と読み取り方

今回の検証では、1頭あたりの好走率は多頭出しより単独出走の方が高い結果でした。しかし、多頭出し馬は低人気馬と大頭数レースの割合が高く、母集団構成が異なります。

この検証の限界

  • 多頭出しと単独出走では、当日人気・クラス・出走頭数の構成が同一ではない
  • 厩舎の出走意図、使い分け、目標レース、馬ごとの状態は今回の主条件にしていない
  • 同一厩舎内での主力馬・相手候補など、馬同士の役割をデータから判定していない
  • 本記事は馬単位の成績であり、厩舎単位で「どれか1頭が勝つ確率」を比較したものではない

全体集計だけを見ると、多頭出しの勝率5.5%は単独出走7.3%を下回り、「多頭出しは有利」という見方は確認できませんでした。

一方、当日人気を揃えると4〜6番人気と7〜9番人気では多頭出しがわずかに上回り、3勝クラスでも勝率7.5%対7.1%でした。多頭出し馬には低人気馬や大頭数レース出走馬が多く含まれるため、全体成績だけで不利と断定することもできません。

同一厩舎の多頭出しを見るときは、まず各馬の当日人気とクラスを確認し、そのうえで同じ厩舎の馬が何頭出ているかを見る。調教師データを詳しく確認する場合は、騎手・種牡馬データなどの人的要因と分けて整理することが重要です。

まとめ

今回の検証まとめ

  • 多頭出し31,183頭の勝率は5.5%、単独出走412,085頭は7.3%
  • 2頭出しと3頭以上の勝率は5.5%と5.7%で大差がなかった
  • 多頭出しは10番人気以下が45.8%で、単独出走より10.4ポイント高い
  • 当日人気を揃えると全体ほど大きな勝率差は残らない
  • 多頭出しだけで有利・不利を判断せず、人気・クラス・出走頭数を分けて確認する必要がある

「同一厩舎の多頭出しは有利」という見方について、今回の2016年〜2025年JRA平地競走では、多頭出しの勝率5.5%に対し、単独出走は7.3%でした。1頭あたりの全体好走率では、多頭出しが上回る結果ではありません。

ただし、多頭出し馬は10番人気以下が45.8%、14頭以上のレースが81.7%を占め、単独出走馬とは条件構成が異なります。当日人気を揃えると差が小さい区分や多頭出しが上回る区分もあるため、「多頭出しだから勝負気配が高い」「多頭出しだから不利」と一律に決めず、各馬の人気、クラス、レース条件を分けて確認することが重要です。

検証条件

  • 対象:JRA平地競走
  • 集計期間:2016年〜2025年
  • 多頭出し区分:同じ日付・競馬場・レース番号で同一調教師が2頭以上出走した場合を多頭出し、1頭のみを単独出走
  • 集計単位:出走馬1頭を1サンプルとする馬単位集計。厩舎単位の勝利確率ではない
  • 条件分解:同一厩舎の出走頭数、当日人気、クラス、芝・ダート、レースの出走頭数で比較
  • 指標・出典:勝率・連対率・複勝率・単勝回収率・複勝回収率を馬単位で集計。データ出典は競馬データアカデミー独自集計
本記事で掲載している各種データは、競馬データアカデミーによる独自集計であり、集計期間は2016年〜2025年を対象としています。データは過去の傾向をもとにしたものであり、今後の結果を保証するものではありません。

よくある質問

同一厩舎の多頭出しは有利というのは本当ですか?

今回の2016年〜2025年JRA平地競走では、多頭出しの勝率5.5%・複勝率17.4%に対し、単独出走は7.3%・21.8%でした。全体では多頭出しが上回る結果ではありません。ただし当日人気や出走頭数の構成が異なります。

2頭出しより3頭以上の方が成績は高いですか?

今回の条件では、2頭出しの勝率5.5%・複勝率17.4%、3頭以上は5.7%・16.9%でした。勝率差は0.2ポイントで、出走頭数が増えるほど1頭あたりの成績が明確に上がる結果ではありません。

人気を揃えても多頭出しは単独出走より低成績ですか?

区分によって異なります。1番人気は多頭出し30.0%、単独出走33.2%でした。一方、4〜6番人気は7.3%対7.2%、7〜9番人気は3.4%対2.9%で、多頭出しがわずかに上回っています。

多頭出しなら厩舎のどちらかが勝ちやすいですか?

本記事ではその確率を検証していません。出走馬1頭を1サンプルとして成績を比較しています。複数頭を出せば厩舎全体の出走機会は増えるため、厩舎単位で「どれか1頭が勝つ確率」と1頭あたりの勝率は別の指標です。

多頭出しデータを見るときは何を確認すべきですか?

各馬の当日人気、クラス、レースの出走頭数を分けて確認することが重要です。多頭出し馬は低人気馬と大頭数レースの割合が高いため、全体成績だけで判断せず、十分なサンプル数と条件を揃えて比較してください。

著者・運営者情報

執筆・編集:競馬データアカデミー編集部

競馬データアカデミーは、期待値・回収率・オッズ分析・競馬場傾向・データ検証などを、初心者から上級者まで段階的に学べる競馬データ学習メディアです。人気や印象だけに頼らず、過去データを判断材料として競馬を考えるための情報を発信しています。

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